大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(ネ)1088号 判決

控訴人は適式の呼出を受けながら昭和二十六年二月十二日午前十時の本件口頭弁論期日に出頭しないが、その陳述したものとみなされた控訴状の記載によれば、控訴の趣旨は「原判決を取消す。控訴人が普通恩給金の支拂を受ける権利あることを確認する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求めると謂うにあつて、被控訴人の指定代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張はいづれも原判決事実摘示と同一であるからここにこれを引用する。

(各証拠省略)

三、理  由

控訴人が原審において本訴の請求の趣旨として内閣恩給局長が控訴人に対し昭和七年六月十五日なした普通恩給請求棄却の処分を取消すべきことを求めたことは本件記録上明らかであるから、控訴人が当審において普通恩給金を受ける権利あることの確認を求めるのは、その請求を変更するものと謂うべきである。そして普通恩給金支拂義務の主体は国であるから右権利確認の訴の相手方は恩給局長ではなく国でなければならない。從つて右請求の変更は当然相手方当事者の変更を伴い、訴の基礎を変更するものに外ならないから不当としてこれを許さないものとする。もつとも行政事件訴訟特例法第七條は同法第二條の訴において原告が被告となすべき行政廳を誤つたときは訴訟の係属中被告を変更することができる旨規定しているけれども右訴は、同法第二條の訴に該当しないから同法第七條の適用のないこと謂うまでもない。

よつて本訴の適否について案ずるに控訴人の本訴請求は内閣恩給局長が昭和七年六月十五日控訴人に対してなした普通恩給請求棄却の処分を違法であるとしてその取消を求めるのであるから行政事件訴訟特例法第二條に謂う行政廳の違法な処分の取消を求める訴であることが明白である。從つてその出訴期間は同法附則第四項及び昭和二十二年法律第七十五号第八條但書の規定によつて処分のあつた日から起算して三年を経過するにより満了するものと謂わなければならない。しかるに控訴人が本訴を提起したのは昭和二十三年十二月二十八日であることが本件記録上明らかであつて右処分のあつた日である昭和七年六月十五日から既に三年以上を経過し、しかも右欠缺は補正せられてないのであるから控訴人の本訴は不適法として却下すべきものとする。

さすれば右と同趣旨に出でた原判決は洵に相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却すべきものとし、民事訴訟法第三百八十四條、第九十五條、第八十九條を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 柳川昌勝 浜田宗四郎 菅野次郎)

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